AX for Revenue実績・事例2日間で14名全員が形にした、磐田市「AXアーキテクト育成」実証プログラム
2日間で14名全員が形にした、磐田市「AXアーキテクト育成」実証プログラム
この事例の要約
AX for Revenue の設計原理を用いた実証プログラムが、2026年8月25日と26日に静岡県磐田市で行われた。実施はAlphaDrive REGIONの地域AX事業で、地域企業と市職員あわせて14名が参加し、草地博昭市長も2日間を通して参加者として加わっている。終了時点で全員が自社の業務を対象にした成果物を一つ形にした。本ページは、大企業の事業開発を前提に組み立てた3領域モデル・PI・100倍のゲート・Full-Product Launch が、地域の中小企業と行政の業務でも機能するかを検証した記録である。アンケートでは全日程参加13名の総合満足度が5点満点で4.92だった。
この事例が用いた AX for Revenue の設計原理
磐田市との連携にもとづく実証プログラム
2026年8月25日と26日の2日間、磐田商工会議所で「AXアーキテクト育成 実証プログラム」が行われた。静岡県磐田市とAlphaDriveによる実証で、地域企業と市職員あわせて14名が参加している。実施はAlphaDrive REGIONの地域AX事業だが、設計原理はAX for Revenueのものをそのまま用いた。
本記事は現場のルポではない。AX for Revenueの方法論が、大企業ではなく地域の中小企業と行政の業務で機能したのかを検証した記録である。実施の詳細は AlphaDrive REGIONが公開しているレポート に詳しい。

何を検証したのか
このプログラムで使った設計原理は4つある。業務を3つの領域に分ける3領域モデル。人間の側にしかない情報をAIに注入するPI(Primal Intelligence)。テーマ選定の判定に使う100倍のゲート。そして完成品を先に作って放つFull-Product Launch。
いずれもAX for Revenueが大企業の事業開発を前提に組み立てたものである。従業員数十人から数百人の地域企業と、行政の窓口業務でも同じように働くのか。それが今回の検証点だった。

3領域モデルは、中小企業の業務でも線が引けたか
引けた。むしろ大企業より境界が明瞭だった。
初日、参加各社は自社の業務を棚卸しし、AX Area・Human Area・DX Areaに割り振っている。調査と分析、提案書や見積の作成、図面や写真の処理、デザイン制作がAX Area。顧客との関係構築、経営会議での合意形成、利害調整がHuman Area。
大企業では、同じ業務が部署をまたいで分割されているため、どこまでが誰の仕事かを確定させる作業に時間がかかる。従業員数十人規模の企業では、一人が業務の全体を持っていることが多い。だから線を引く判断が速い。
行政の窓口業務も同様だった。市職員6名が参加しており、交付金申請の支援や相談対応といった業務が具体名で挙がっている。
100倍のゲートは、判定基準として使えたか
使えた。しかも、大企業での適用とは違う役割で働いた。
初日の午後、各社は「100倍のテーマ」を一つに絞る作業を行っている。1.5倍では人が少し楽になるだけで、今のやり方はそのまま続く。100倍になると今のやり方が成立しなくなり、変えざるを得なくなる。見積が3日から30分になれば、営業のかけ方も受ける案件の種類も変わる。前者を改善、後者を非連続と呼び分けた。
テーマ選びのルールは2つだけ置いた。効率化でも収益進化でも問わず、ゲートは100倍かどうかの一本にする。そして、現実的な改善より、届きそうなほうを選ぶ。
判定は人が行う。AIは各社の事情を知らないので、手が止まったときの相談相手としては有効でも、出てきた答えをそのまま候補にはしない。ここがPIの働く場所である。

2日間で、14名全員が形にした
終了時点で、参加者全員が自社の業務を対象にしたものを一つ形にしている。共有会に並んだのは、コーポレートサイト、業務アプリ、報告資料、交付金申請の支援システム。全員が違うアプローチで、それぞれ形のあるものを持って戻ってきた。

Full-Product Launchが成立するかどうかは、完成品の製造コストが十分に低いかにかかっている。日本語で書ければ数十分でソフトウェアが完成する状態になったことで、地域企業の一担当者でも完成品に手が届いた。
講義の場では、建設会社向けの耐震補強シミュレーターを指示文1本から、磐田市のホームページを読み込ませた市民向けの「引越し手続きナビ」を3分で作って見せている。意味合いは速さそのものより手前にある。打ち手にはコストがかかるので、これまではどれをやるかを選ぶ必要があった。そのコストが崩れると、全部の打ち手を試せる。
首長が、参加者として手を動かした
草地博昭市長は、視察や挨拶ではなく、2日間を通して参加者としてプログラムに加わった。講義を聞き、ワークに手を動かし、自身でAIを操作してアプリケーションを一つ作り上げている。

共有会で発表したのは「災害対策本部シナリオシステム」。首長は災害が起きたとき、自分がどこにいようと対応しなければならない。その前提に立った、首長のための災害対応シミュレーターである。
AI活用の方針を掲げる自治体は増えたが、方針を語る側が同じ課題を同じ時間だけ手で試した例は多くない。地域の企業と行政が同じ場で、同じ物差しで手を動かした。この構図そのものが、今回の実証で確認できたことのひとつだった。
大企業での適用と、何が違ったか
AX for Revenue は、大企業の素材メーカーの新規事業開発部門に対しても同じ設計原理で研修を実施している。大企業・素材・BtoB という条件で、磐田とはほぼ対極にある。同じ原理でも、価値の現れ方が異なった。
Full-Product Launchにおける「Product」の定義が異なった。 磐田では、動くソフトウェアを数十分で作って放つ形になった。素材メーカーでは、まだ存在しない素材について「そのサービスがすでにあるかのような紙」を作り、顧客にぶつける形になった。素材は物理的な製造が伴うため、完成品をそのまま作ることができない。完成品の製造コストが崩れた領域と、崩れていない領域で、同じ原理が逆向きに現れる。
取り扱える情報の感度が違った。 大企業では、センシティブなコーポレート情報や技術情報を気軽にAIに投入して活用できない。そのためのデータ基盤はまだまだ未整備であり、そもそも基盤を作らないとデータを取り扱えない。中小企業の経営者や経営企画部門は、自社のデータを自らの判断で適切なレベルでAIで取り扱うことがすぐにできていた。決裁者が責任を持てるデータの範囲が広ければ、AI活用の深度はいっきに深くなる。
次に何が起きるか
終了後のアンケートでは、全日程に参加した13名の総合満足度が5点満点で4.92だった。数値以上に目を引いたのは、回答した14名全員が翌日以降にやることを具体的な業務名で挙げていたことである。交付金申請支援システムの開発、コーポレートサイトの刷新、相談カルテの効率化、社外に払っているサービスの内製化。
要望も出た。実践量をもっと増やしたい。他社の活用事例を見たい。テーマを絞って深く掘りたい。いずれも「足りなかった」ではなく「続きをやりたい」という形をしている。
参加企業のうち1社とは、2026年9月から11月まで3か月の伴走支援に入り、12月11日に磐田市役所で報告会を開く。2日間でできたのは、道具を手にして一つ形にしたところまでである。 事業と組織が実際に変わったかどうかは、この伴走の結果として12月に出る。本事例の続きは、そこで記録する。
Survey
受講者アンケートの結果
総合満足度 / AXアーキテクト育成 実証プログラム(磐田市)
全日程に参加した13名が回答した総合満足度。プログラムをどう受け止めたかを測った値であり、事業成果を測ったものではない。アンケートの回答総数は14名で、うち全日程参加の13名を集計対象としている。
総合満足度は、5点満点で平均4.92。平均の算出対象は13名である。
評点未記載参加者
今までなんとなく触っていて、一方的な壁打ちに使っていたAIが、ホームページ作成やアプリ、報告資料までつくれてしまうなんて知りませんでした。無知って怖いなと思いつつ、参加をしてとてもよかったです。
評点未記載参加者
できないと思っていたこと(デザイン等)がこうも簡単に出来るのかというところ。今回の成果物以外でも社内でかなり活用できるのではないかと考えられることがありました。
評点未記載参加者
2日間という短い間で、参加者全員が全く違うアプローチで形に見える成果が出せるという点が、とても良いことであり、非常に参考になった。
評点未記載参加者
実践量をもっと増やしたい。他社の活用事例を見たい。テーマを絞って深く掘りたい。
Numbers
この事例に出てくる数値と、その出所
実施日
公開情報(実施記録)
参加者
公開情報(地域企業および磐田市職員6名)
成果物を形にした参加者
AlphaDrive 実測(共有会での発表をもとに確認。参加者全員)
翌日以降の着手予定を業務名で挙げた回答者
AlphaDrive 実測(アンケート回答14名全員)
この事例で言えることと、言えないこと
Proven
- 2日間で参加者14名全員が、自社または自部門の業務を対象にした成果物を一つ形にした。
- 3領域モデルが、従業員数十人規模の企業と行政の窓口業務でも線を引ける枠組みとして機能した。
- 100倍のゲートが、テーマを一件に絞る際の判定基準として機能した。
- 現職の首長が視察ではなく参加者として2日間手を動かし、自身で成果物を作り上げた。
- アンケート回答者14名全員が、翌日以降に着手することを具体的な業務名で挙げた。
Not Proven
- 本事例は2日間の実証プログラムであり、売上や行政コストへの影響は検証していない。成果物ができたことと、業務や組織が実際に変わることは別である。
- 各参加者は100倍を狙うテーマを選んだが、実際に100倍に到達したかは検証していない。
- 総合満足度4.92は、全日程に参加した13名がプログラムをどう受け止めたかを測った値である。事業成果を測ったものではない。設問が他の事例の有用度評価とは異なるため、両者を単純に比較することはできない。
- 事業と組織が変わったかどうかは、参加企業1社との3か月の伴走支援の結果として2026年12月に出る。現時点では未確定である。
- 一自治体・一地域での実証であり、同じ進め方が他の地域で同じように機能する保証はない。収益進化AIは自社固有性が高く、手順の横展開では成立しない。
よくある質問
この事例はAX for Revenueの実績なのか、AlphaDrive REGIONの実績なのか。
両方である。AX for Revenueは事業部門であると同時に、グループ各事業にAXの設計能力を供給する層でもある。本事例はAlphaDrive REGIONの地域AX事業として実施したが、3領域モデル・PI・100倍のゲート・Full-Product Launchという AX for Revenue の設計原理を用いているため、AX for Revenue の実績として数えている。実施体制はページ上部に明記している。
中小企業でもAXは成立するのか。
成立した。むしろ3領域モデルの線引きは大企業より速かった。大企業では同じ業務が部署をまたいで分割されているため、どこまでが誰の仕事かを確定させる作業に時間がかかる。従業員数十人規模では一人が業務の全体を持っていることが多く、判断が速い。
自治体でも同じことができるのか。
できた。市職員6名が参加し、交付金申請の支援や相談対応といった業務を対象に成果物を作っている。現職の市長も参加者として2日間手を動かし、災害対応シミュレーターを自身で作り上げた。
2日間で本当に成果が出るのか。
2日間で出るのは成果物であって、事業成果ではない。参加者全員が形のあるものを一つ持ち帰り、翌日以降にやることを業務名で挙げた。そこから先、業務や組織が実際に変わるかどうかは伴走支援の結果として検証する。
満足度4.92は何を測った数字か。
全日程に参加した13名が、プログラムをどう受け止めたかを5点満点で答えた総合満足度である。事業成果を測ったものではない。設問が他の事例の有用度評価とは異なるため、両者を単純に比較することはできない。
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